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第一話 異世界《ミッドガルニア》は突然に 03
ヒヨリたちの家がある飛芽島へと快適な速度で向かっていくが、予想通り船は荒波に激しく揺れて、快適な航海ではなかった。
これ以上の荒波の漁に出たこともあり、船の揺れには多少慣れた茂だが、絶え間ない上下の揺れで軽い船酔いになってしまい気分が悪くなっていた。
一方ヒヨリは、ケロッと普通にしており、むしろこの揺れを楽しんでいた。
「さ、流石は、ヒヨリちゃん。全然、普通だね……」
「昔から、おじいちゃんやおじさんの船に乗せて貰ったりしていたからね。このぐらいの揺れならヘッチャラですよ」
「それと、やっぱり“海賊”の血を引き継いでいるからもあるのかな?」
何気ない茂の一言に、ヒヨリの表情が曇ってしまった。
ヒヨリの家……若林家のご先祖は、海賊だったのである。南北朝時代から海賊として活動していたらしく、日本近海で貿易に来ていた外国船を襲撃していた。正しく言えば倭寇ではあるが、意味合い的には同じだ。
やがて、戦国時代になると当時の大名に水軍(いわゆる、国お抱えの海軍)として登用されて、活躍したとされる。その褒美として今暮らしている島……飛芽島の領地を与えられた。
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