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「ううう~~~」
砂のついた制服を手で払い、俺と共に投げ出されたリュックを拾い上げ、俺は道路で肩を落とした。
昔みたいに、そうだ無かったことにしよう、と成長した頭は考えてくれないらしい。これも色々なことを知って大人になった証なのか……とほほ……。
学校へ続く道に視線を飛ばす。学校へは坂をまっすぐに上がっていけば着けるので、下を向いていても大丈夫だろう、と腹をくくって歩き出す。
家から離れるにしたがって、自分の力が表に出始めた。俺の足元、道路に散らばっている小石が、地球の法則を無視して、坂道を転がり上っていく。
俺は溜息をついた。
幽霊も気持ち悪いけど、これも問題だよなあ……。この調子じゃ、今日一日(…で済めばいいけど…)、俺の周りはポルターガイストだよ。
無意識のうちに現れてしまう念動力(これが俺の力の名前らしい)を理由に、家に戻ることも考えてみた。けれど、戻ったとしても、さっきの母さんの様子じゃ、中に入れてくれないだろう。
「………はあ」
幽霊視たら、どうしよう……。
勝手に動く身の周りの物、なんて言い訳したらいいんだろう……。
悩み悩み歩くうち、学校へ向かう生徒の足が増えてきた。
ああ……。もう学校に着いてしまった………。
ローファーの群れを眺め、深い溜息をついた瞬間、異様な気配を感じ取った。
え?
思わず、顔を上げてしまう。
「………あれ?」
けれど、ただ学校が目の前にそびえるばかり。異様な気配の元となるようなモノは目に映らなかった。
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