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「……PTA会長の葉山さんから電話をもらった。今から葉山さんの自宅へ向かう」
飲みかけのコーヒーを手にし、零治はリビングルームのソファに座る百恵に言った。百恵は思わず腰を浮かせる。
「え?! 学校で何か事件…っ…、まさか、五樹が?!」
「いや違う、五樹が何かしたわけじゃないから」
青ざめた百恵を落ち着かせるよう、早口で言い切り、コーヒーを飲み干す。
「娘さんが行方不明になったらしいんだ。警察に届ける前に、少しだけ捜索を手伝ってくれないか……そういう話なんだ」
「俺たちも行った方がいいのかな?」
広げた新聞を畳み、組んだ脚を戻しながら一哉が言う。
「それとも、学校へ直行した方がいい?」
「……そうだな……」
零治は少しだけ考え、眉を顰める。
「そうか……。学校に問題があるとしたら、五樹が巻き込まれる可能性があるか……」
「あっ」
零治の呟きを聞き取った百恵が、あっと口元を押さえた。
「あの学校、荒神を封じたお社があったわ。五樹の口から、あそこが壊れたとか、動物の遺骸が敷地内にあったとか聞いたことがなかったから、まだ何も起きていないと思ってたけど……」
二葉が溜息を漏らす。
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