2人が本棚に入れています
本棚に追加
/75ページ
「……それ、直接聞かないと答えないヤツ……」
「ああ~……。四朗が学校のことをよく話す子だったから、うっかりしてたわ。そうよね。思春期の男の子って、こっちから聞かない限り、普通は何も言わないわよね」
頬に手を当てて、溜息をつく百恵。零治も緩く首を振る。
「私も失念していたよ。三流と違って、あの子は小さなことにこだわらないタイプだ。ほんの些細な違いくらいじゃ、気にもかけないだろう」
そろって溜息をつく零治と百恵を交互に見て、一哉と二葉は苦笑する。
「それは仕方ないんじゃない?」
「あの双子は出来が良すぎるんだって」
そんなことより……と、その場の空気を変えるように、一哉は畳んだ新聞をパシンとテーブルに置いて、立ち上がった。
「俺たちも行くよ。五樹に何かあったら、学校から連絡が入るだろう。そうしたら、俺と二葉で学校に行けばいい」
果たして、葉山家の駐車場にたどり着いたところで、零治の持つスマホに学校側から連絡が入った。
『意識を失っているので、救急車で……』
最初のコメントを投稿しよう!