動き出した闇

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* * * * *  私は握っていた手を離して、立ち上がった。床に横たわる少女を見下ろし、爪先で軽く小突く。 「起きなさい」 「う……うう……」  呻き声を上げ、小さな白い顔が歪む。冷ややかにそれを見下ろし、腕を掴みあげる。 「ほら、早くしなさい」 「……せん……、りょうこ……セン、セイ………」  乱暴に掴み上げ、無理矢理起こせば、小さな顔は呻きながら呟いた。 「なん……で……?」  私はその疑問を鼻で笑う。 「なんで? はっ。貴女のお祖父様に聞いて御覧なさい」  腕を荒々しく掴み、引きずるように歩き出す。 「いたっ。痛いっ、やめてっ。いやっ、放してっっ」 「うるさいっ。髪の毛を掴まれないだけマシだと思いなさいっ」 「なに? なんで? なんで、こんな、こんなひどいことするの?」  私は冷ややかに少女を見返す。  愚問。先ほど言ったばかりではないか。  私の目線に、少女の顔がさらに白くなる。腕を振り解かれる。 「いやああああっっっ」  叫び声をあげて、先ほどまで倒れていたのが嘘のように、少女は走り出した。  真夜中の校舎。  廊下を走る少女。  そして絶叫する少女を追いかけるように、私の身体から黒い闇が噴き出した。
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