1。警視庁へ戻って半年後江草刑事に

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数十分階段でたたずんでふと目を覚ました江草刑事は、およそ三十年前自分が若い頃私立難関大学を通っていた時に色々お世話になった水泳部部長が「頑張りや、兄ちゃん。」と声がした気がした。もうその部長は、江草刑事が警視庁に勤めてある珍事件が起こった頃に、亡くなっていた。珍事件とはおよそ十年前に都内三協駅界隈で自作自演だった青年の詐欺未遂であった。 その頃青年が逮捕寸前で自殺しようとし救急車で運ばれた先の病院で、偶然その近くの病室にてその水泳部長が息を引き取った。その親族から水泳部長は、闘病が始まってからも必死に最後まで法律学の教鞭をふるまっていたと聞いたことを江草刑事は思い出した。  そうこうするうちに先に学務課に聞き込みに行っていた作部刑事が、「なんだ。江草さん。そこだったんですか。もう聞き込み終わりましたよ。戻りましょうか。」と声を掛けてきた。そして、2人は、警視庁ビルへ向かった。
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