1。警視庁へ戻って半年後江草刑事に

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その日の捜査一課の時計の針が丁度5時を指す頃、作部刑事が、戻ってきた。ここ3日間、被害者江花氏の出身校布引高校の担任や大学時代の友人であった2人に会ってきたと話した。その友人のうち潮見佳次から、彼の両親が亡くなった頃に突然夕方ごろ喫茶店で頻繁に死にたいと彼が言って一週間ほど行方不明になったことを聞いたと教えてくれた。  もう一人の友人からは、高校時代の同級生のある女の子と親しかった時があり、何回か彼のアパートにもいてたと聞いたらしい。その女性の件は、同僚の女刑事山縣氏に任せたと作部刑事は、近況を教えてくれ江草刑事も最近の報告をした。  翌日から一週間が経ち、捜査一課は、捜査員11名で第二回捜査会議を開いた。木崎刑事と安富刑事からは、スケジュール帳に記入してあったファッション業界の24社のうち11社を訪問したが、彼のデザイン企画の提出先らしく他も同様に想定できるがもっと絞ってみるとの報告があった。女刑事山縣からは、被害者江花氏の親しかった高校の同級生は、塩見みどりと特定できたが、彼女は2年前ほどに東京の秋葉原のビルから飛び降り自殺したとの驚きの報告があった。遺書関連は、当時の所轄の担当から聞いたが、ある交際男性とのもつれだったが、江花氏ではなく彼女の勤務先の出版企業の方ということが分かった。しばらく、捜査員11名含めなんか変な異様な雰囲気の中沈黙が続いた。  彼と親しく有力な情報が得られそうな交際女性が自殺というケースは過去の捜査にもなく捜査一課全員が次へ進む前に一つ一つ丁寧に処理してくよう認識しなおし捜査会議は終了した。江草刑事は、捜査会議終了後廊下で、山縣刑事を呼び止め彼女の今後の捜査は自分が交代すると伝えた。彼女には自殺関連の件は外した方がいいとの上官からの指示であった。山縣刑事は、また以前の目撃情報や現場関連の担当へ戻るようになった。よく探り当ててくれたので、江草刑事は、「お疲れさん。次は、私がやるよ。」と声を掛けた。   
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