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ガラッ
焦っていたからか、ノックするのを忘れてしまってた。恥ずかしいな。
「ノックしろっ………奏風!?…と榊?あー、とりあえず、ベットに」
すごいな、すぐに奏風君って気づいて。
顔は僕の方に向いてるのに。髪の毛かな。
「あの、奏風君、大丈夫ですか?」
テキパキと処置を終えた望月先生に声をかける。奏風君はというと、酸素吸入器を付けて最初より青白い顔で…点滴してもらっている。
今はカツラもなく、長い前髪がないため奏風君の顔が分かる。
綺麗で儚い、美人な子。確かにここでは隠した方が安全だね。
「あ〜…心配掛けたな。大丈夫。環境の変化やら緊張とか不安とか疲れが積み重なっただけ。奏風にしてはもったもんだ。楽しさも、多かったんだろうな。休めばまた良くなる。
…榊、あの人数の中、奏風に気づいてくれてありがとう。早く処置できたのも榊のおかげだ。」
まだ少し苦しそうだが、先程より穏やかに眠っている奏風君を望月先生は優しく頭を撫でる。
愛おしそうに。
「偶然ですよ。でも、そうですね…気づくことができて良かったです。気づくことが出来なかったら奏風君は今頃…。ほんとに良かった。」
「あぁ…。心配かけたな。もう大丈夫だから。でも、歓迎界のレクレーションは、参加させられない。というか今日1日安静にしないとな。」
「そうですね。可哀想ですが……では、奏風君のチームに参加できない有無を伝えます。奏風君、番号の紙持ってるでしょうか。」
「あぁ、さっきポケットに入ってたから出しておいた。『春ー20』だ。」
「!…残念だな。僕も同じ『春ー20』なんです。では。望月先生、また終わり次第ここに来ます。」
「おう。ありがとな。榊も、心配してくれるのは嬉しいがちゃんと楽しめよ!」
「ふふ。ありがとうございます。」
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