2418人が本棚に入れています
本棚に追加
/222ページ
それから一時間後。
シャワーを浴びさせてもらった私は急いで用意を済ませ、慌てているフリをしながら紀子の家から「いってきます」と慌ただしく出て行った。
それから行くあてもないまま最寄り駅まで歩き、行くあてもないまま改札を抜け、行くあてもないまま電車に乗り込んだ。
空いている座席に適当に腰をおろし、腕時計に視線を落とす。
時刻はまだ午前11時を過ぎたばかりだった。
つまりは帰宅予定の夜の9時まで、あと10時間もある。
何して時間つぶすかな…。
「はぁっ…」
電車に揺られながら、小さくため息がこぼれた。
最初のコメントを投稿しよう!