そうだ、召喚しよう

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とある異世界で、女神ザンネーは焦っていた。自分を崇める国は周辺国からそっぽを向かれ、衰退しつつあったのだ。 人間を至上と定め、他の人種を亜人と呼ぶ。エルフやドワーフ、獣人や妖精などは人に奉仕するのが当たり前。 そんなジコチュー王国は他種族に偏見を持たない周辺国から愛想を尽かされ、経済封鎖された状況にあった。 他国との貿易が出来なければ、国は衰退するしかない。このままではジコチュー王国は滅び、女神を信奉する者がいなくなる。 そうなれば、女神の存在意義は無くなり力を喪う事にもなりかねない。 プライドの高いザンネーにとって、それは許される事ではなかった。 「一体どうすれば……そうよ、他の世界から奴隷を呼んで周辺国を征服させましょう!」 異世界の書物で知った勇者召喚。勇者は強大な力を持ち召喚者に従うという。 勇者を呼び、周辺国を征服。異教徒を改宗させよう。そうすれば勇者を呼んだ女神ザンネーの名は轟き、人々は私を崇める。ザンネーはそう思い込んだ。 「誰か、王を呼びなさい。勇者召喚を行います!」 いきなり勇者召喚などと訳の分からない事を言われた神官は、条件反射で王城へと走り出した。
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