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「な、なぁ、同い年って、嬢ちゃんいくつだ?」
「18です」
「イヌで18って、老犬か?」
「いえ、ケルベロス種の寿命は50から60ですから、まだまだピッチピチです」
「ていうか、そんな、そんなイヌが居るのに何で捕まってた」
「実は、情報を集めようと思って忍び込んだんですが、結局捕まってしまいました。でも誰かに売られて外に出た時にでもヘルを呼ぶつもりだったので」
「え。じゃあ、俺が居なくても、助かってたのか?」
「えぇまあ」
「そ、そうか。・・・(なんだそりゃ。じゃあ、俺がただ助かっただけなのか・・・)」
「でも、ノイルが居なかったらこの子達は助かりませんでした」
そう言うとルアは18歳の少女らしい笑みを見せた。ヘルというボディーガードが居るとは言え、自ら裏取引の巣窟へと踏み込む度胸があるなんて、この娘は、想像するよりも力強いのかも知れない。ノイルはふと、妹の顔を脳裏に過らせた。
「へへ・・・どうも」
集落に着くと、ノイルは売られそうになっていたところを助けた少女達を小さな警察署へと届けていった。少女達が警察署へと入った時はそれなりに騒ぎが起きた。安心感からか少女達は泣いていたり、震えたりしていて、ノイルが何かをした犯人ではないかと疑いかけた者も居た。だがノイルを呼び、駆け寄ってきた1人の警察官の男性によって、その場は本当の意味での落着を迎えたのだった。ノイルと同年代のその警察官がノイルと親しげに笑い合うのを、ルアは不思議そうに見つめていた。
「とりあえずはよくやったなノイル。裏取引アジトを含む一帯を管轄してる隣村の警察署が、突撃前の内偵を邪魔するなと苦情をよこして来るかも知れないが、まぁ良しとしよう」
「それは売人目当ての内偵か?それともアジト全体への内偵か?」
「そらぁ全体だ。カジノに人身売買、麻薬取引に武器売買。あそこはデパートだ。つっても、そこを仕切ってる大元のマフィアまでとっちめられるかは微妙だが」
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