ミッドナイトブルー

2/11
136人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
「やっぱりこれは運命なんだよっ!」 「はぁ。…え?」 レジを打っていると急に謎の外国人に両手を握られてそう言われ困惑している俺、21歳専門学生。 コンビニの夜勤帯。通常の時間よりも時給はいいが、深夜だからなのかちょっと個性の強い客が多い(俺調べ)。 そして今俺の前には、両手をぎゅっと握り嬉しそうにこちらを凝視してくる謎の美形外国人。 外国人って言ったけどどっちかというとハーフっぽい。髪は黒っぽい灰色で、恐らく染めているのだろう。モデルみたいに背は高い上に顔立ちもはっきりしているが、くりっとした目元は愛らしくちょっと幼い感じもする。あと日本語もペラペラだし。 …そういえば日曜の朝にやってる某アニメで「ハーフじゃなくてダブル」(うろ覚え)っていう表現を聞いたんだけど、俺あの言い方好きだな。 まぁたまたまSNSで流れてきたの見ただけなんだけど。 そのハーフじゃなくてダブルの瞳は、黒っぽいようで薄くブルーが入っていた。 まるで深い夜の色だ。暗い夜空に星を閉じ込めたようなその不思議な輝きは、ずっと見ていると本当に吸い込まれそうになる。間近で見るとすごい…。 俺が見とれていると、彼はコンビニのカウンターなんか軽く乗り越えてきそうな勢いで、俺に話しかけてきた。もちろん手は握ったままだ。レジが打てない。 「また当たったんだ!見てこれ!」 謎の美形が嬉しそうに見せてきたのは、当たりと書かれたアイスの棒。片手で俺の両手は拘束したままだ。実に器用だが、そろそろ離してくれてもよくないだろうか。 「えと、おめでとうございます…?」 おずおずと口にすると、興奮したままのハーフじゃなくてダブルの夜色の目のアイスの人が続ける。 ダメだ、情報が多すぎてこいつの呼び方が統一しない。 もうアイスの人でいいや。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!