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深夜だからってちょっと個性強めの人が多いというのは決めつけだったかもしれない。
「この前はあんなことしちゃって本当にごめんなさい!」
今俺の目の前には深々と頭を下げ申し訳なさそうに謝る謎の美女。
そう、この間俺にガンを飛ばしてきていたあの女性だ。
夕勤の子が出られなくなっちゃったからと店長に代わりを頼まれてこの時間。
今日は夜勤はない。
バイトを終え、日が変わる前に帰ろうと店を出たときだった。店先で呼び止められ、振り返るとこの間の女性が立っていた。
また何か言われるのかと思いきや、突然彼女はこの前のことを謝罪してきたのだ。
「あの時は酔っ払っていて…突然睨み付けたりして本当、ごめんなさい。私どうしても謝りたくって…」
何だ、やっぱり酔っ払ってたのか。
俯いたままちらっと上目遣いで俺を見ると、彼女はもう一度頭を下げた。
「そんなに謝らないでください。何とも思ってませんから、もう気にしないでください」
俺がそう告げると、彼女は漸く頭を上げた。俯いていたせいでせっかくの綺麗な髪がボサボサだ。
「いえ、そういうわけにはいきませんわ。是非お詫びをさせてください」
「いえいえ、何もそこまで」
律儀な人だなぁ。何もそこまで気にしなくてもいいのに。
というかこんな風に謝罪されてることにもびっくりなのに。
「いえ、私の気が済まないので!お願いします!」
お、おう…何か、圧を感じるな…。
「いや本当結構なんで。俺もう帰りますし」
お詫びとかされてもこっちの方が気を使うし。
「ならちょうど良かった!今からちょっと付き合ってください!」
…へ?
ぱあっと顔を輝かせ、俺の返答も聞かずに彼女は俺の腕を引いてぐいぐい歩き出した。
お詫びをしたい気持ちは有難いが、何だろうこのもやもや感。正直何も要らないから早く帰りたいんだけど…こ、断りづらい。
「あのー、本当お詫びとか大丈夫なんで」
「すぐそこですから」
「はあ…」
皆さん薄々お気づきかも知れないが、俺は押しに弱い。
というより、人に対して強く出られない節がある。
モノローグでは言えるんだけどな。
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