ミッドナイトブルー

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…一体どこまで行くのだろう。 彼女が「ちょっとそこまで」と言ってから、10分以上は経った気がする。大通りに面したコンビニを出てオフィス街や飲み屋街を通り抜け、ぐるぐる入り込む路地に入り、何だか人通りの少ないところに来た。 辺りには残業帰りであろう人がちらほらいるくらいだ。こんなところに一体何があるっていうんだろう。何かちょっと不安になってきたな…。 いやいや、あんなに真摯に謝ってきてくれた人を疑うなんて良くない。良くないぞ俺。 しかし彼女はどんどん人気のない路地を突き進んでいく。何かもう早く帰りたい。もうはっきり断って帰ろうか。そう思っていると、 「こっちです」 と一段と強い力で腕を引っ張られる。細い路地を曲がると、突然女性がピタッと立ち止まった。 「わっ、すいません!大丈夫ですか」 俺は止まりきれず軽く女性にぶつかってしまった。 咄嗟に謝るも、彼女の反応は無い。 どうやら硬直してしまっているようだ。 「あの?本当に大丈夫ですか?」 「なん…で」 俺の声など聞こえていないみたいだ。彼女は視線を動かさず、怯えたようにそう呟いた。 声も、身体も震えている。 どうしたのか尋ねても、「嘘、嘘よ…そんなはず…」とうわ言のように繰り返すばかりだ。 一体どうしたというのか。 俺が彼女の視線の先を辿ろうとすると、彼女は弾かれたように突然元来た道を走って逃げ出した。ドンッと軽く肩にぶつかるも、お構いなしだ。 状況に全くついていけない。 追いかけた方がいいんだろうか。 …彼女は一体何に怯えたのだろう。 ふと彼女が見ていた先を見ると、何やらしゃがみこむ人影が居た。
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