2/2
前へ
/2ページ
次へ
今も、忘れない。 あの時助けてくれた君。 君がいなかったらどうなっていたか。 会社は倒産し、家族はバラバラになっていた事だろう。 君が会社を立て直す資金を出してくれなかったら。 僕は今も、その恩を忘れていない。 ***** 今も、忘れない。 彼に貸した金はまだ戻ってこない。 早く返してくれないか? 親友の為と思って情けをかけたのが悪かったのか? なんだかんだと理由をつけて、半分も返してもらっていない。 もう7年だ。早く返してもらえないだろうか? 今も、君に貸した金の残高は忘れていないぞ! ***** 今も、忘れない。 あの日の高校の同窓会の二次会を。 学生時代のAは人気者でモテ男。ルーズなところもあったが、それも魅力の一部だった。 学生時代のBは秀才で、優秀な成績で一流大学を出たエリート公務員。 高校の頃、彼らは親友だった。 その二人が眼前で大喧嘩をしている。誰もが自分の目を疑った。 酒の力もあったのかもしれない。 会社の運営資金を貸していたBが、なかなか返してくれないAに我慢しきれなくなった。 Aは会社の危機を皆にバラされ「ここで言わなくてもいいだろう!」と腹を立てた。 取っ組み合いのケンカが始まり、それを止めようとする者、驚いて立ち尽くす者、 面白いと高みの見物を決め込む者様々だった。 その後同窓会を開いたが、彼らは2度と来る事はなかった。 今もあの場にいた誰もが、忘れられない。 人気者とエリートが、金で狂わされてしまった姿を。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加