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今も、忘れない。
あの時助けてくれた君。
君がいなかったらどうなっていたか。
会社は倒産し、家族はバラバラになっていた事だろう。
君が会社を立て直す資金を出してくれなかったら。
僕は今も、その恩を忘れていない。
*****
今も、忘れない。
彼に貸した金はまだ戻ってこない。
早く返してくれないか?
親友の為と思って情けをかけたのが悪かったのか?
なんだかんだと理由をつけて、半分も返してもらっていない。
もう7年だ。早く返してもらえないだろうか?
今も、君に貸した金の残高は忘れていないぞ!
*****
今も、忘れない。
あの日の高校の同窓会の二次会を。
学生時代のAは人気者でモテ男。ルーズなところもあったが、それも魅力の一部だった。
学生時代のBは秀才で、優秀な成績で一流大学を出たエリート公務員。
高校の頃、彼らは親友だった。
その二人が眼前で大喧嘩をしている。誰もが自分の目を疑った。
酒の力もあったのかもしれない。
会社の運営資金を貸していたBが、なかなか返してくれないAに我慢しきれなくなった。
Aは会社の危機を皆にバラされ「ここで言わなくてもいいだろう!」と腹を立てた。
取っ組み合いのケンカが始まり、それを止めようとする者、驚いて立ち尽くす者、
面白いと高みの見物を決め込む者様々だった。
その後同窓会を開いたが、彼らは2度と来る事はなかった。
今もあの場にいた誰もが、忘れられない。
人気者とエリートが、金で狂わされてしまった姿を。
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