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妹弟たちが息絶えた。
赤い炎にのみ込まれたのだ。
次は私だ。
一まわり小さな姉が心配そうに声をかけてくる。
しかし、終わりから逃げることはできない。
最後を前に思い出す。
闇の中から光を見いだしたときのこと
はじめて海を感じたときのこと
雨が降り続き、そして雨が上がったときのこと
あらたな命を授かった時の喜び。
命を慈しみ、育てていったときのこと。
反抗や裏切りにあったときの悲しみ。
そして、命は巣立っていったときのこと。
それらを、今も忘れはしない。
太陽は終わりの時を迎えようとしていた。
赤く膨らんだ太陽は、水星を、金星をのみ込み、地球ものみ込もうとしていた。
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