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《鈴太視点》
「っん、うぅ……あっ」
「リン、大丈夫?痛くない?」
頭がおかしくなりそうだった。
英一はもうかれこれ30分くらい前戯をしている。
前までの行為はすぐ挿入して英一がイッたら終わりという淡白なものだったから、こんな事をされるとは思わなかった。
顔を見られたくなくて隠してもすぐに手を掴まれる。
「顔見せて、声も我慢しなくていいから」
英一の声を聞くと、ナカの指をきゅぅ…と締めてしまう。
恥ずかしくて思わず英一にしがみついた。
「えいいち…っもう、いれてよぉ……」
「……ッ、」
ゆっくりと指が抜かれ、僕の腰の後ろに枕が敷かれる。少し腰が上がると、英一との距離がぐっと近くなる。
お互いの呼吸と体温で逆上せてしまいそうだった。
「挿れるよ。力抜いて」
「ッぅ……」
英一と繋がりたい気持ちはあるのに、やっぱりどうしても体が強ばってしまう。力を抜こうと意識すればするほど上手くいかない僕を見て、英一は頭を撫でてくれた。
「…大丈夫か?」
「うん……」
ついばむようなキスが降ってきて、少しずつ身体の緊張が解ける。
キスが深くなると、心地好い圧迫が感じられてきた。
「ぁ……ああっ、」
「っはぁ、リン……好きだ、好きだよ」
きつく抱き締められて身体が密着すると、英一の心臓の音が聞こえた。
(嬉しい……やっと……)
ぎゅうっと抱きしめ返す。愛されて繋がることが、こんなに幸せだなんて初めて知った。
「リン、ちゃんと気持ちいいか?」
「ん……きもちい……」
脳がとろけるようで、ほとんど無意識に返事をすると、自分のお腹のなかにある英一のものがぐぐ、と質量を大きくしたのが分かった。
そのまま緩い動きが始まると、自然と腰が浮いていく。
「ん、んっ、ぁ、あ」
単調な動きに少し慣れてきたところで、いきなりグンッと上に突き上げられるようなピストンに変わり、息を呑んだ。
「〜ッ、ぁあっ!」
「ここ?」
その場所を突かれると痺れが腹に走って高い声が出てしまう。
まるで発情期のように愛液が次から次へと溢れて腿を伝いシーツに染み込んでいく。
「あ、やぁぅ、や、そこぉ……っ」
何度も弱い場所を狙ってくるので甘イキが止まらない。
「あ……リン、いい匂いしてきた」
「ん、ぅっ、あうう……ッ」
英一が首筋に顔を埋めて舌を這わせ、ちゅ、ちゅ、と跡を付けていくのにも反応してしまい恥ずかしい。
「かわいい…。もっと顔見せて」
色っぽい英一に見つめられ、顔にどんどん熱が集まっていく。
こんなみっともない顔のどこが可愛いんだろう。
英一の動きが止まって、不意に下腹を手のひらで少し押される。
上からの圧迫でナカの感覚がより敏感になっていくのが分かった。
「な、に……?」
「……わかる?このリンの小さい腹ん中にいっぱいに俺のがあるの」
「ま、まって…それ、ぇっ、やあああっ!……」
制止の言葉を言う前に英一が再び動き出し、ゴリゴリと奥を擦られる感覚で目の前が真っ白になった。
「あうぅっあっ、あっ、ん、イく、イッひゃ…ぅ、…」
「うん、いいよ、ッ、俺もイく、一緒にイこ……」
「〜〜〜〜〜あああッ!」
「……くっ、」
子宮が降りるような感覚と共にビリビリと快感が走って絶頂を迎える。英一の顔が少しキツそうに一瞬だけ歪んで、中に熱いものがとくとくと注がれた。
英一が身体の力を抜いて僕にもたれかかってくる。お互いの肌が心地良い。
「……大丈夫だったか?」
「うん……」
眉を下げて心配そうに顔を覗き込んでくる英一。なんだか性格がすっかり丸くなってしまった気がする。
「英一……」
「ん?」
英一の綺麗な髪を撫でて、ちょっと迷いながら勇気を出して言ってみる。
「もう一回……したい」
英一は少し固まってから、みるみる顔を真っ赤にしていく。
初めて見る恋人の余裕の無い顔が、可愛くておかしくって笑ってしまった。
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