タテヨコナナメの恋愛事情。

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 ホテルの目覚ましやモーニングサービス程度では起きれないし、相手に絶対に先に起きてくれなんて頼むのも面倒だし、そもそも一緒に寝たいと思った事がないと言い切られてしまった。 「お、俺はさ……」 「うん?」 「前に話した通り、元彼がネコなのを全然知らなくてタチやらせちゃってて……嫌な事を強要してたんだって思うと、今でもキッツイなって思うんだけど……」 「それはタテさんだけのせいじゃないでしょ? 相手だって言わなかったんだし……」 「一緒に寝るって、俺の中では凄く幸せな事なんだよ。俺らみたいなヤツは往来で堂々と出来るわけでもないし、セ、セックスだけが幸せな訳じゃないだろ……?」 「うん、まぁね。僕にとっては怖い事ではあるけど、タテさんが言ってる事も理解出来るよ」 「俺はっ! 君を、幸せにしたいっ!」  言葉足らずな小学生の様に、そう言い放った立脇に、ナナメはキョトンと目を瞠る。  三十路にもなってなんて無様な告白だろうか。  仮にも雑誌編集をやっている男の語彙とは思えない、幼く拙いその告白は、誰より立脇自身が呆れてものが言えない。 「うはっ、何か凄いな……。僕、この事誰にも話した事ないんだ。一緒に眠るなんて当たり前な事が出来ないなんて、説明すんの難しいじゃない? さっきも言ったけど重い話でしょ? だから、誰かに告白されても応える事が出来なかったし、自分からなんてもっと出来なくて……」 「お、俺は……明人と一緒にいたい。絶対、約束守るし、朝も俺が起こしてあげるよ?」 「タテさんを掲示板で見つけた時にね……。自分がナナメだから真直ぐな人なのかなって、ただそれだけで選んじゃったけど、選んでよかった」  タテさんがヨコさんに浮気されて、良かった――――。
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