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「で? 元彼の俺に、それを暴露できるお前の神経は鋼なのか?」
「だってヨコ……お前しかこんな事話せるヤツいないんだもん……」
「そいつ若いんだろ? お前の華麗な臭いが嫌とかじゃないの?」
「え、俺、臭う? 臭いって事?」
「別にそこまで臭う事はねぇけども! 俺に聞いたって、そんなまだ学生の若い男が一緒に寝るのを拒む理由なんて分からんわ」
「一緒に……寝たいなぁ……」
「はぁ……お前、ホント一人寝が嫌いな」
「だって、淋しいじゃん。俺さ……ヨコがしたくないって思ってる事に全然気付いてやれなくて、自分がずっと許せなかったよ。ごめんな……長い事、嫌な思いさせたよな」
同じ会社、同じ部署、大学からの腐れ縁。
別れ方は凄惨な物だったけれど、ヨコは仕事を放棄する様な人間じゃない。
半年も経つ頃には普通に同僚として飲みに行ける程度には関係を修復出来ていた。
「ヨコは円井と上手く行ってんの?」
「お蔭様で」
「いーなぁ……」
「でも今日は、会社の飲み会って事になってるから、口裏合わせろよ」
「俺、会う事ねぇよ? 円井に」
「今、総務に雑用バイトで入ってんだよ……バレたら殺される」
「あはは、ご愁傷様~」
「いや、殺されんのはお前だから」
「……マジか。愛されてるねぇ」
居酒屋のカウンターに項垂れて、しょうもない妬みを溜息と一緒に吐き出す。
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