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Lost in Age
誰の言葉だっただろうか、小説に必要な題材は、全て十代の中にある。
午前二時、滝のような吐瀉物をトイレに流し込みながら、そんな言葉を思い出す。
カーテンが、夜風を受けて揺れている。そこから漏れる青白い光に惹かれるように、ふらふらとベッドに倒れ込む。自分の記憶が詰まった箱を、ひっくり返すようにして、洗いざらい十代の記憶を掘り起こす。何処にも小説になりそうなものなんてない。ただ、下らないと吐き捨てながら、学校で無為にした時間だけ、ひなびてそこに転がっていた。
あとは塾に通って、それ以外の時間は小説を読んで・・・。他は何があっただろう。仰向けの体勢から横向きになって、揺れるカーテンに目をやった。カーテンと窓枠の隙間の中で、ネオンの灯りが寂しげに揺れる。
「自分がね、空っぽなんじゃないかって、思っちゃう時がたまにあるのよ」
今日、佐藤が言っていた。鼻で笑って目を瞑る。
そして僕は思い出す。今日という、しょうもない日のことを。僕の人生を煮詰めたような、どうしようもない一日を。
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