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「来てくれないのかと思ったよ」
僕は高校の中庭にそびえ立つ桜の木の下で、日が傾きかけるまで待ちぼうけをしていた。
「諦めて帰ったと思っていたんだけど。あなた、バカなの?」
少し呆れたような心配しているような、僕には上手く読み取れない薄い表情でこちらを覗き込む彼女の言葉に僕は苦笑一つ返す。
「それで、私に何の用かしら?」
僕は心に決めていた言葉を口にする。
「好きです。付き合ってください」
心の中で何度も何度も反芻し、慣れた言葉のように僕はそれを口にする。
「はい、これで十二回目の告白ね。毎月毎月ご苦労様ね。私の気持ちはすでに決まっているけど、念のために私を何故好きなのか教えてもらっていい?」
芯まで冷えたというよりはあまりにも温度そのものを感じない言葉で彼女は僕に質問を投げかけた。ここまでのやり取りもこれで十二回目だ。
「それは、もちろん!」
僕は鼻息を荒げながら、彼女に向かって言い放つ。
「あの日のキミのパンツに惚れました!!!」
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