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「はい、却下」
彼女は四回目のこのやり取りぐらいから、特に驚く様子もなく断るようになった。嬉しいかな、成長である。
「何度も言っているけど、いえ、十一回言っているけど、私はそんな理由でしか私を評価しないような人とは付き合いたくない」
腕を組み、不機嫌そうな彼女。
「では、また明日」
そう言い残し、僕に背を向け、帰ろうとする彼女を僕は呼び止める。
「まだ僕はキミの質問に半分しか答えてないんだけど?」
僕は知っている。彼女にはこう言うだけで十分だと。
「・・・・・聞かせてくれる?」
彼女はゆっくりと僕の方を振り返ると、そう言った。
彼女の表情がいつもとは少し違って見える。きっと、これがいつもとは違う展開だからだろう。僕の心にもういつも通りに軽口を叩く余裕はない。
「最初は桜吹雪の中で見たキミのパンチラが忘れられなかった」
いや、きっと違って見えるというよりは明らかに軽蔑の瞳が向けられている気がする。睨み付けられている気がする。目は口ほどにものを言うとはまさにこのことだ。
「あの日、僕は自分の性癖に知った。そして、キミのいろんなパンチラを見てきた。スカートが風にめくられて笑いかける純白の天使、落とした消しゴムを拾おうとして睨み付ける紅の女王、猫と戯れようと座り込んで覗き込む漆黒の悪魔。そのどれも僕の中で忘れられない一瞬だった。でも、それと同じくらいキミが僕を笑いかけて、キミが僕を睨み付けて、キミが僕を覗き込んできたキミとの日々も僕は忘れられないんだ」
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