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こんな恥ずかしい内容の告白だけど、これが僕の本心で、本心を隠して告白するなんて言うことは僕にはできない。自分の気持ちを打ち明けることが告白のはずなのに、嘘で固めた言葉で相手に交際を申し込むのは、告白とは言わないと僕は思う。
「本当にあなたは出逢った時から、変わらないのね」
彼女は悪戯っぽい笑みを見せ、呟くように言った彼女も変わらない。
「人付き合いが苦手で、表情が薄くて、でも実は、人一倍周りを気にかけている。キミの魅力に他の人は気付いていないと思う。きっかけは不純だったけど、僕は僕だけが見つけたキミのことが好きです」
彼女は、少し照れくさそうな表情を隠すようにうつむいてしまった。今までそんな表情を見せてくれなかった彼女の新しい魅力をまた見つけた。その幸福感に浸っているつもりはない。緊張と無理矢理働かせた思考のせいで酸欠気味になった身体いっぱいに空気を吸い込む。
「だから、何度でも言います」
ゆっくりと大事な言葉を、決して伝わり損なうことがないように、喉を絞る。
「好きです。付き合ってください」
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