君と僕

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今も忘れない。 あの時、君の手を離していたら、今の僕はいない。 本当はあの時、僕は君の背中を押そうとしてた。 “さよなら”しようと思ってたんだ。 でも“さよなら”するのをやめて、君の手を掴んだ。 そして強く、握りしめた。 どうしてそんなことをしたのか分からなかった。 ただ無我夢中で、君の手を掴み強く握りしめた。 “さよなら”しようと思っていた、この手を・・・。 しばらくして気づいた。 僕の決断は間違っていた。 君の背中を押そうと思っていた僕の決断は間違っていたんだ。 「あの子が好きなんだろ?」 「そうだよ。でも、好きになっちゃいけないんだ」 「どうして?」 「変に思われるから」 「どこが変なの?人を好きになっただけじゃないか」 「相手が女子なら、みんな納得する」 「相手が男子だから、みんな納得しないの?」 「そうだ。僕が男子を好きになっちゃいけないんだ」 「どうして?人を好きになっただけじゃないか」 「そうだけど・・・変に思われたくないんだ・・・誰にも」 君は納得してくれなかった。 僕は誰にも変に思われたくないって言ったのに、君は“好き”という気持ちを隠してくれなかった。
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