0人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねえ、知ってる?私のことを覚えてますかおじさん」
私の学校でも、すでにあの男性は噂になっていた。
白シャツに、チノパン。こざっぱりした黒の短髪に、やや童顔にみえる面立ち。人によってはイケメンとも言えなくはない気がする。推定二十代後半の男性。
彼は、私が利用している駅の北口で、道ゆく人に声を掛けている。
─私のことを、覚えていますか?
彼は何度もそう問い掛けては、知らないと言われ、無視され、嫌そうな顔をされている。
最初のコメントを投稿しよう!