「私のことを、覚えていますか?」

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「何それ、変なの」 「ね、変だよね」  友人二人が笑いながら男性の話してるのに参加しないでいいように、中身が空になったいちごオレのストローを口にして飲んでいるフリをした。  昼ごはんも食べ終えて、テスト期間中で部活も休みなので、午後の二コマの授業で学校も終わる。  天気だけはとてもいい日で、青空には雲一つなかった。 「じゃあ、決まりね」 「えっ、何が?」 「もう、聞いてなかったの?部活もないし、その変なおじさん見に行こう。今日もいるといいね」  二人とも楽しそうに笑っている。  私がぼうっとしている間に、あの男性を見に行くことが決まってしまった。  なんとも、憂鬱だ。
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