~letter~

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『未来の私へ 小学校の同窓会で「20歳の私へ」って手紙を読んだよね。 ......ねぇ、15歳のときに出会った恋、今もちゃんと忘れずに覚えてる? 20歳の私は忘れてません。 はじまりは私が階段から落ちそうになったところをあの人が助けてくれたことだったよね。 一目惚れした私は、なんとか話題を見つけて、話しかけて、告白して付き合えることになって... 本当に幸せな日々だったよね。 だけど、15歳の春に出会った恋は18歳の秋に失われた...... これが12歳の私には伝えられなかったこと。 突然のことすぎて泣けなかったのが今でも記憶にある。あの人の「また明日。」がもう聞けないなんて未だに信じられない。 だって声や仕草、笑顔......もうあの人のすべて、今も忘れられない。あの人がいないのは悪い夢なんじゃってよく思う。 かわりに、あの人を失ってすぐにやってきた冬のことは本当に何も覚えてない。悲しくて寂しくて、もう絶望しかなくて。 涙はでなかったけど、私の時間はあの人を失った時で止まったの。 だけどずっと悲しんでいるわけにはいかないから無理して笑顔をつくって、同じ毎日をただただ繰り返し過ごして...気づいたら20歳になってた。 あの人がいなくなってから私は何度も手紙を書こうとしたの。17歳で倒れて入院したあの人と面会ができるようになるまで毎日書いていたときみたいに。 でも書いては消して、書いては消して。 宛名までは書けるのにそれより先が書けない。 正直、自分だけ大人になったことに腹を立ててるの。 だってあの人との最期に会った日、未来の話をしたから。ずっと一緒にいようって約束した。 だけどその願いはもう2度と叶うことはない。 あの人は私を置いて遠くへいってしまった...... あの人は優しい人だから私が新しい恋をすることを許してくれると思うけど、私が許せない。だって私だったら自分のこと忘れないでって思うから。 周りから恋をしなよって言われるけど、 私はあの人のこと今も忘れられない。本当に大好きなの。 寂しくなったからじゃなくて、ほんとは前を向きたくてこの手紙を書き始めたんだと思う。だけど結局は無理だったな。 もう恋はしないって今書きながら私は思ってる。 未来の私もあの人のことをずっと好きでいて。 20歳の私より。』
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