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何だか悪い夢を見た気がする…
あの、誰にも無関心で冷たくて容姿端麗な癖にそういう事には興味なさそうで毎回女を泣かせてる問題児が……笑って俺を可愛いと言った……
……ああ、ただの悪夢であってくれ。
昨日のあの後、鷹倉から逃げるように走って帰った俺は徹夜まで勉強して忘れようとした。
…だって気持ち悪いじゃないか。しかも…キスとか…駄目だ駄目だ。思い出そうとするな俺。
取り敢えず、あいつは変態だったということが分かった限り近付かないようにしなければ。
……と、思った矢先、
「おはよう委員長。」
「…………俺はまだ夢の中か?」
「何?俺の夢でも見たの?」
「見てねえよしばくぞ。」
なんと鷹倉が校門で待ち伏せていたのだった。今まで見たことないその笑顔で手を振っている。隣の佐野は「なんでこいつが居るんだ。」とでも言いたげな目で鷹倉を睨んでいた。
「委員長、鷹倉先輩が居るのはなぜでしょうか。」
「…知らん…俺に聞くな。」
「勿論、委員長におはようって言うためだよ。教室は違うしさ。」
「いいから教室行けよ。お前がここに居ると女子が集まるから。」
俺がそう言うとつまらなそうにして、ゆっくり昇降口に歩いて行った。
全く…何なんだ一体…
「…委員長、いつの間に鷹倉先輩と仲良くなったんですか?」
「仲良くなった覚えは無い。…が、まあ色々あったんだよ…話す気になったら話す。」
「はあ…分かりました。でも、何かあれば俺は直ぐ委員長の助けになりますから、言ってくださいね。」
「…お前はよく出来た後輩だな、本当。」
「尊敬している委員長の為です。」
心強いが、こう…恥ずかしげもなくスパッと言う辺りは本当に凄いな佐野は。
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