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赤毛の そいつは、自分の下に出来た血溜まりから 三本脚で ぎこちなく歩いて 尚も朱緒に向かって行く。痛みとかねぇのかよ... ? 朱緒は簡単に そいつを避けたけど 「ルカ! なんかねぇのかよ?! あいつ、出血で死ぬぜ!」 「なんか って、おまえ... 」 そうだ、十字架... でも、ジェイドは教会だし 「琉地!」 凝った煙が琉地になると、ジェイドのロザリオを持って来るよう 頼んだ。 赤毛が オレに眼を止める。 そのまま にじり寄ろうと 一歩 足を出すと 史月が横から、そいつを軽く弾き飛ばした。 「やめろ、史月! おまえの力じゃ死んじまう!」 泰河が倒れた赤毛に駆け寄るが、牙を剥かれて 後退する。 「カゲンって難しいんだよなぁ」 史月が人型になって、泰河の隣に立つと 唸る赤毛の前に腕を出し、自分の腕を噛ませた。 その腕を、ぐっと胸の位置まで上げて 赤毛の前足を 地面から離させると 泰河が後ろから赤毛を羽交い締めにする。 赤毛は、史月の腕を口から離し 狂ったように暴れ出した。 「うわっ... 暴れんなよ!」 目の前で煙が凝ると 琉地が戻り ロザリオを受け取る。 史月が赤毛の頭を掴み 「泰河、オマエじゃムリだぜ。 代わってやるから、もうどっかに通報でもしとけ」と 赤毛を抱き抱えて オレの前に連れてきた。
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