851人が本棚に入れています
本棚に追加
/243ページ
パトカーのサイレンの音が近づいて来た。
「話をまとめると」と、刑事さんは また
オレらを じっと見た。
「狼の毛皮を被った男が、女の人を襲っていて
そこに 別の野犬がきた。
女の人は逃げ、男が野犬に襲われて怪我をし
君たちが通報。野犬は逃げた、と」
うまいなぁ。狼男要素 消すの。
「でも、これ被ったら
また変身するかもしれませんよ」
泰河が また毛皮を差し出すと
刑事さんは、煙たそうな眼を毛皮に向けた。
なんか鼻しっかりしてんなぁ、この人。
「呪物だと思います。
十字架と祈りが効きました。素人でも」
オレも付け加えると、刑事さんは
「ジュブツ?」と聞き返してる。
「呪いがかけられてるみたいですね。魔術かな?
被ると、毛皮が 一体化して狼に... 」
「いや なるほど。それは、君たちのだね。
よく思い出してごらん」
うわっ、投げたぜ。
毛皮は証拠品とかじゃないのかよ?
沙耶さんから、オレらが 祓い屋やってる って聞いてるんだろうけどさぁ。
パトカーが近くに止まって、制服の警察の人が
二人 降りて来る。
別のパトカーの音も近づいてきた。
刑事さんは、そっちに眼をやって
「じゃあ、君たち。話してくれてありがとう。
また何か聞くかもしれないけど、もう帰っていいよ。面倒だから今すぐに帰りなさい」と
オレらを さっさと追い払った。
最初のコメントを投稿しよう!