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「実は私、入ったことあるもんね。大型ハドロン衝突型加速器施設に! すごいっしょ!」 「どうやって入ったんだよ! 忍び込んだのか?」 「そんなわけないでしょ! お父さんがそこで働いているのよ!」  初耳だった。詳しくは知らないが、国の研究機関が運営している施設だ。ということは、成美のお父さんは学者や技術者なのだろうか。慎治が驚いて感心していると、 「佐々木君も見たい?」 「えっ……うん、まぁ、ちょっと興味あるかも……」  もちろん、本当はまったく興味はないが……。 「今度、見学会があるんだ。お父さんに言えば参加できるよ。佐々木君も来る?」  予想外の展開に驚いて成美のほうを向くと、思った以上に距離が近かった。慎治は自分の顔が赤くなっているのを感じ、あわてて視線を逸らした。 「えっ、いいの? う、うん、行きたいかも……」 「ぜんぜんいいよ。詳しいことは後で連絡するからLINE教えてよ」  と、言ってLINEの交換を済ませた。思いがけず成美の連絡先をゲットしてしまった。さらに見学会にも参加することに。一般から参加者を広く募っている見学会で、信じられないことに大人気なんだそうだ。毎回定員オーバーで抽選で参加者が決まるプラチナチケットらしい。それにしても、これって、二人で行くってことだよな。……まさか、参加するのは俺一人、なんてオチだったりして……。いやいや、あの話の流れでそれはないだろう。当然一緒に行くはずだ。慎治は自分に言い聞かせ、一人納得すると、どうしようもなく顔がにやけるのを抑えることができなかった。
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