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翌朝、目覚まし時計の電子音に起こされた慎治は、いつものように布団から手を伸ばし、スイッチを押して電子音を止めた。早めの時刻を設定しているので、しばらく布団の中でだらだらするのがお決まりだ。たまに二度寝をしてしまい、遅刻しそうになることもあるが、今日はしっかりと目が冴えているので大丈夫だろう。
――しかし、何かがおかしい。
目覚ましが鳴り、スイッチを押して電子音を止めた時から、慎治は何か違和感を感じていた。十月も半ばを過ぎると朝は結構寒い。もう少し布団の中にこもっていたいのだが、気になって布団から顔を出して辺りを見渡すと、真っ暗で何も見えない。なんだ? まだ夜が明けていないのか?
「んんっ?」
おかしいな? 目覚ましが狂っていたのだろうか? 慎治はもう一度、部屋の中を見渡してみるが、やはり真っ暗で何も見えなかった。いつもなら、明け方でもカーテン越しにうっすらと明かりが差し込んでいるのにそれもない。
いつもと何か様子が違うような気がした。
完全に真っ暗なのである。
普段なら真夜中でもいくらかの明かりは感じることできる。それが全くないのだ。
慎治は自分の目の前に手をかざしてみるが、ぜんぜん見えない。次第に不安になり、ベッドから起きあがり、カーテンを開いてみた。
真っ暗だ。
何も見えない。
これはおかしい! 月や星空だけではなく、街灯や家の明かりが一つも見えないなんてあり得ない。
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