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ノートは思う。実際のところ、お伽噺に出てくるドラゴンや大蛇、魔獣に巨人といった生物は、本当に存在したのであろうか。
古今東西、大陸外も含め幅広いお伽噺を今までに漁ってきたが、どこの地方にも似たような伝承は必ずと言っていいほど各地に伝えられている。出てくる登場人物は違えども、現れる怪物はみな似たり寄ったりだ。それほどまでに幅広く生息し、大きな存在であるならば、確かに古い時代には偉大な怪物がこの世界に住み着いていたのだろう。
吟遊詩人としては、お伽話を再現する存在のため、当然怪物を実在した生物として扱う。しかし、ノート個人としては、怪物を比喩や例えとして現在も実在する生物に脚色を加え、大袈裟に描いたモノだと考えていた。なにしろ、絶滅してしまった生物だとこれから先出会うことはないが、比喩的表現であるのなら、これからも旅を続けている途中でお伽噺と同じ光景に出会うことができるかもしれないからだ。旅の楽しみが一つ増える。そう考えての思いだった。もちろん、ドラゴンや巨人が実在するのであれば、それはそれでたまらなく嬉しいのだが。
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