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「いや、そこまで遠くはない。この先の街道を通っていくと、途中で風化した古代の遺産が点々と散らばっている土地が見えてくるんだ。その場所から遺産を追うように進むと、目的地に到着する。現在のペースなら、明日の昼過ぎには着くはずだ」
「ノートは星の穴に行ったこと、あるんだ」
「もちろん。アードルフに立ち寄った際は、毎回通っている」
「そっか。明日にはやっと古代の遺産が見られるのね! 楽しみー!」
「期待しておけ。でもな、星の穴は今回の旅では中間地点に過ぎない。本命はアドルの森にあるからな。到着して、気を抜きすぎないようにしろよ」
ノートが、まるで学徒に教えを与える先生のように指摘するが、クリスの笑みは変わらない。体を揺らしながら、ニコニコと上機嫌だ。
「うん、わかってるつもりよ。でも、やっぱり嬉しくってさ。ちょっとくらいはしゃぐのは大目に見てね?」
クリスの笑みにつられるようにノートは仕方ないなと笑い、ゆっくりと夜は過ぎていく。
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