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睡眠と時間と月は並行に夜を刻み、寸分たがわず朝を迎えた。
普段は昼前まで惰眠をむさぼるノートであっても、旅の間は市壁の人間と同じく、朝日と共に行動を開始する。昨日と変わらない陽光によって目覚めた二人は、軽い朝食をとった後、すぐさま旅を再開した。
厳しい道のりではない整備された道ではあるが、クリスは旅が初めてとは思えないほどしっかりとした足取りでついてきている。無論、疲労は感じているだろう。それでも、ついていくと決めた以上自分から諦めることは決してないと、自身の足で語っていた。
無理をしすぎないようペースを作り、適度に休憩をはさみつつ、足を動かし続ける。春先の太陽とはいえど、じりじりとした暑い直射日光を浴び、汗を垂らしつつも前に進み続けた。
そして、数時間後。ノートの目論見通り、太陽が燦々と輝く空の下、古代の遺産は二人の前に姿を現した。
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