三章

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「……これが、古代の遺産……」  古代の遺産とは多くの物体の総称だ。現代人では理解できないような鉄の板も、謎の言語で記された本も、車輪のついた用途不明の箱も。すべてを指し示して古代の遺産という。  二人の目の前に広がる古代の遺産は、未知の物体が倒壊したと思われる、崩壊と風化が激しく進んだ灰色の岩の塊。人間の二倍以上の大きさのある岩の塊には四角い均等の穴が開いており、人工的に作成されたものだということが分かる。現代でも似たようなものを作成することはできるが、これほど大きく、均等なものは不可能だ。  クリスが岩の塊に近寄り、そばに落ちていた透明な欠片を拾って呟いた。  「……ガラスの破片……?」 「ああ、そうだ。この辺りの遺産からは特にガラスと鉄、灰色の岩が多く採取できることが有名でな。今となっては取りつくされ、残っているのは灰色岩と材料にもならない錆びついた鉄。ガラスのような希少物質はほとんどない。古代の遺産には貴重な物質が眠っていることも多く、使用できるものは全て採取されていることがほとんどだ。一帯に転がっている巨大な岩は、古代人が生みだした城や巨壁だったとも言われていたりするが、真実は誰にも分からない。手、切らないようにしろよ」 「うん。そっか、これが……」  クリスがガラスの破片をマジマジ見つめ、太陽にかざしていた。 「……先に進もう。岩の遺産を追った先に、星の穴はある」
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