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「……ここが、第一の目的地。『星の穴』だ」
「……何もないって、どこがよ……。ここには古代人の、技術の多くが眠っているじゃない……」
「驚いたか? だが、この場所よりも規模の大きな遺産は存在し、なおかつ、未だ現代人では扱いきれない貴重品が眠る遺産も存在する。人々の間では、灰色岩や材料にすら出来ない鉄が転がっているだけの、何もない場所に変わりない。風景のためだけに足を運ぶような物好きは、もれなく変人扱いさ」
現代人では想像もできない、とてつもない技術が埋まっているのは、誰が見ても明らかだ。遺産を一目見てだけで分かる。だが、理解できない、利用できない技術など金にもならず、学びようもない。
ノートは肩をすくめると、クリスは信じられないといった様子で言葉を口にした。
「星の穴に眠る技術を解明するだけで、人間は圧倒的に進歩するはずなのに誰もしないなんて……」
「研究をしている奴もいるだろうが、大半の人間にとっては未知の技術よりも自身の明日。身銭を切ってまで難題に取り組むより、教会の教えを乞うほうがよっぽど有意義だろうさ」
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