三章

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「……ノートは解明してみようとは思わないの?」 「思わないな。俺は古代人の技術を解明したいのではなく、遺産の神秘や彼らの生活、冒険を自身の眼で確かめ、語りたいだけだ。もちろん、技術が解明されたのであれば知りたいが、自ら研究しようとはならないさ」  古代の遺産を冒険するのは、夢を叶える材料でもある。  クリスはやや納得がいかないといった調子だったが、反論はせず、錆びついた鉄の箱を眺めていた。 「さて、クリス。お待ちかねの星との対面だ。目の先に広がる大きな穴に、探し物は落ちている。……行こう」 「……うん」  二人は止めていた足を動かし、中心地へと向かう。  まわりには、家の体を成した建物のような物体が多く存在する。おそらく、古代人はここを都市や街として活用していたのだろう。星の穴ほど大きな遺産に囲まれた場所は多くはないが、小さな集落のような遺産であれば大陸各地に存在している。大抵は希少物質採取のため、崩壊しているのだが。  誰も寄り付かないため伸び放題となった野草を掻き分け、万が一にも瓦礫を踏み外して足を痛めないよう、凸凹になった地面を慎重に通り過ぎていく。遺産に囲まれた中心地は、遠くから眺めると小さかったが、近づけば近づくほど姿は大きくなっていった。古代人の息遣いを感じる遺産を背景に進み続け、時間を掛けながら、ノートとクリスは穴の手前まで辿り着いた。
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