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心の中で貴族社会のルールに悪態をついていた私は、唐突に閃き、身分がどうだと気にしているロクムに…
「…では、ロクム様。宜しければ私と友達になってくださいませんか?」
そう言って微笑んだ。友達になれば身分なんて関係なくなるわよね!やだ、私 天才。やばい。
閃いた名案に自画自賛していると「友達になって」と、言われたロクムは目を見開き驚いた表情で固まった。…ん?何故固まる?…あ、友達になる理由が分からないとか?…ならば説明しようではないか。お任せろ。
「ロクム様は身分を気にされていますが、そんなもの友達になってしまえば関係なくなりますわ。ですから私とお友達になりましょう。(そして普通に話して、切に。)」
私が名案だと言わんばかりに得意気になって言えば、ロクムは黙ったまま私から顔を背け肩を震わせ始めた。…え?なに…どしたん?何故に震えるし。…サイレントの次はマナーモードか?
様子が変わったロクムに、どうしたのかと思い声をかけようと口を開きかけた所で…
「……ッ、ハハッ!」
と、何が可笑しいのかロクムが吹き出した。…え、今度は笑い出したし。私、変な事は言ってないわよ?…名案だよね?…ドヤ顔がツボったとか?
笑うロクムに訳がわからず、頭にハテナマークを浮かべていると、堪えるように笑っていたロクムは笑いを収めるように息を吐いてから空色の瞳で真っ直ぐ私を見つめて口を開き…
「友になれば身分は関係ないなんて…ティラミス様は本当に変わった人だ。こんな俺で良ければ、是非 友になって欲しい。」
ぎこちない話し方ではなく、流れるようにそう言って頬を緩ませ手を差し出してきた。
…おぉ、普通に話してる。なんか感動するわ。…ん?今、また変わった人って言われたような……まぁ、良いか。それよりロクムの気が変わらない内に返事をしなくては。
若干、変わった人発言が気になりつつも差し出されたロクムの手を取り返事をする。
「勿論よ、ろっ君。これからは友達として宜しくね。」
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