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私が笑って令嬢らしからぬ砕けた口調で返事をするとロクムは「…?…ろっ君?」と、きょとんと呟いた。
「ん?ろっ君は嫌だった?友達になったのだから、あだ名で呼ぼうと思ったのだけど。…駄目だったかしら?」
友達なのに『様』付けって個人的に違和感しかないし。なのであだ名で呼んでみたのだけど…すげぇポカンとしてる。…急に馴れ馴れしくし過ぎたかしら?…どないしょ、アカンかったん?
あだ名呼びは駄目だったか?そう思い私が不安げに見つめているのに気付いたロクムは…
「…嫌じゃない。ティラミス様の好きに呼んでくれたら良い。」
と、なんとなく嬉しそうな笑みで返してきたので…
「なら良かったわ。あ、私の事も様とか付けずに『ティー』って呼んでね。」
ついでのようにそう付け加えて言うと、ロクムは難しい顔で返してきた。
「俺はあだ名で呼ばれても構わないが…ティラミス様を『ティー』と呼ぶのは、流石に…」
そう言って困った様に口ごもるので、やれやれと思いながら言葉を返す。
「もう友達なんだから良いのよ。気にせずにティーって呼べば良いの、簡単でしょ。」
「…いや、ティラミス様それは無ッ…?!」
私は渋るロクムが『無理』と言いかけた所で握手をしたままだった手に力を込め「…ろっ君?」と、にっこり笑顔で言った。そんな私の笑顔に押されてか…あるいは、今もなお力を込め続けている手の痛みに耐えられなくなったのか…
「…ッ分かった……ティー、分かったから手を離してくれないか…。(…痛い。)」
と、諦めたように私を『ティー』と呼んだ。…ロクムには多少強引にやった方が進め易いと思ってちょい無理矢理承諾させちゃったけど…力込め過ぎたかしら?…申し訳。次は気を付けるわ。
ロクムの返事を聞き、私は満足したように笑った後、繋いでいた手を離し力を込め過ぎた事を謝罪した。…ほんにすまんかった。
謝罪を受けたロクムは「気にしなくて良い。」と許してくれたけど「人目がある時は『様』を付けるからな。」とも言われた。(…まぁ、貴族の常識的にそこは妥協しましょう。) そして「普段どんな鍛練をしてるんだ?」と聞かれたので、そこから普通に話すようになったロクムと会話を弾ませた。
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