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…ん?この、聞き覚え…ってか毎日聞いている声は、と思い呼ばれた方へ振り返ると…
「兄様!…と、ベリー様も。二人一緒でどうされたのですか?」
案の定、兄様…と本日の茶会の主催である、カッサータ侯爵家の令嬢・ベリーが揃って登場した。ってか居た。私が二人してどうしたのかと聞けば…
「どうしたのって…ティーを探してたんだよ。ティーの事だからお菓子がある所に居ると思って探していたら、ベリー様が声をかけてくれてね。いくつか置いてある場所の案内をしてくれたんだよ。」
兄様は少し呆れを含んだ笑みでそう答えて、横に立つベリーに案内の礼を言っている。兄様に礼を言われたベリーは「お役に立てれたようで何よりですわ。」と狐っぽい目を細め上品に微笑む。…同じつり目だというのに、ベリーは何て言うか、気品溢れる佇まいで全くキツさを感じない。まだ九歳なのに…流石、生粋のお嬢様だわ。
…私?私は、ほら…前世が庶民だから。なんとか取り繕えても…ね?お菓子のある所=私が居るって認識をされてる程度の私じゃあ…ね?…最低限、令嬢っぽく振る舞えれたらそれで良いのよ。えぇ。…って、兄様が私を探すのをベリーが手伝ってくれていたのだからお礼を言わなくては。忘れるとこだった。あぶね。
私もベリーにお礼を言おうと口を開こうとしたその時、兄様とベリー、二人の陰に隠れるようにして立っている小柄な少女が居る事に気付いた。…ん?誰ぞ?(…俯いてるから顔がよく見えぬ。)
私が謎の少女に目を向けていると、側に立つロクムが「…マシュマロ。」と、呟いた。そんな私とロクムの様子に気付いたベリーが口を開き…
「そうでしたわ。ラスク様はティラミス様を、こちらのマシュマロ様は兄であるロクム様を探しておられたので、どうせならと思いまして一緒に探しておりましたの。御二人とも探し人がお見つかりになって良かったですわ。」
後ろに立つ小柄な少女を『マシュマロ』と呼びそう口にした。ベリーに名を呼ばれた少女…ロクムの双子の妹・マシュマロは、「お、お陰さまで兄が見つかりました。ベリー様、ありがとうございます。ラ、ラスク様も、ありがとうございます。」と、緊張しているような話し方で二人に礼を言ってお辞儀をしてからロクムの元へと歩み寄る。
ロクムも兄様とベリーに頭を下げ「…妹が、お世話に、なりました。…ありがとうございます。」と、礼を述べた。
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