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「「……あっ…。(…しまった。)」」
口論が途絶えた絶妙なタイミングで、ベリーは動じた様子もなく上品な笑みで止めに入ってきた。マシュマロはあたふたしてて、ろっ君は相変わらずの半目だわ。…人様の前で兄妹喧嘩とか…やっちまった。
ベリーに制され我に返った私と兄様はバツの悪い顔で見苦しい所を見せてしまったと、三人に謝罪した。
兄妹揃って頭を下げ謝罪すると、ベリーは「御二人が落ち着かれたのなら良かったですわ。」と返し、ロクムとマシュマロもベリーに同意するように頭を縦に振り、私達の失態を同じように許してくれた。ありがたや。
そして兄様にも言い過ぎた事を謝れば、兄様も口煩くし過ぎたと謝ってきたのでお互いごめんなさいして仲直りをした…後、兄様は「公の場では愛称は控えたほうが良いよ」と、そこだけは念を押して助言してきたので素直に聞き入れた。…兄様の言う通りだし。
つい、貴族的な立場を失念して庶民感覚で言ってしまったもの。…貴族のルール的なものは本当に、ほんっっっとに面倒だけど自分だけならともかく周りに被害が及ぶのは喜ばしくない。次がないように気を付けます。はい。
シュンとしながら素直に聞き入れた私の頭を兄様は優しい笑顔で撫でてくれた。そんなこんなでうっかり勃発した兄妹喧嘩で良くない雰囲気だった場は平穏を取り戻し、和やかになった所でベリーが私に声をかけてきた。
「ティラミス様。私、ティラミス様のお考えにとても感銘を受けましたわ。」
「…へ?…考え、ですか?」
「えぇ、貴族の考えに囚われていては上辺だけの友しか出来ない…本当にその通りだと思いますわ。私も親しくさせていただいている方々は居りますが…友達かと聞かれれば…。」
ベリーはそこまで口にすると少し悲しげに眉を下げ頬に手をおき嘆くような仕草をとった。…これはアレかな、ベリーも位の高い侯爵令嬢だから寄ってくるのは地位だけ見てご機嫌とりしかしてこないヤツばっかって事かな?
…貴族あるあるですね。分かりたくないけど、分かります。
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