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おじさんのかすれた声を聞きながら、ぼくは目の前の唇に触れていた。おじさんの頬を両手で包んで、口を動かして丁寧におじさんの唇を愛撫する。洋画で見るような、セックスのはじまりを予感させる、キス。
おじさんは反応を忘れて、されるがままになっている。夢遊病者みたいに、ぼくはおじさんにキスを繰り返した。
舌を伸ばして、おじさんの口の中を求める。
おじさんは無反応で、困惑したままだ。それをいいことに、おじさんの頭を引き寄せて口をグッと押しつけて、コーヒー味のおじさんの舌を引き出して吸った。
「っ!」
ビクリとおじさんが反応する。そのままチュウチュウと舌を吸いながら、体をより密着させると腰に硬いものがあたった。体をずらして、ぼくのそれとおじさんのそれを擦り合わせる。
「っ、う」
おじさんはただじっと、されるがままになっている。おどろきすぎて、金縛りにあってしまったのかもしれない。――まさかぼくが、おじさんにこんなことをするなんて想像すらもしていなかっただろうから。
「んっ、ふ……ぅ」
おじさんの喉の奥から、艶っぽい息がこぼれた。ぼくとおじさんの股間は布越しとはいえ、熱い鍔迫り合いを交わしている。おじさんのそこが見たいし、触れたいし、食べてみたい。
理性はわずかに残っていたけれど、おじさんの体温と唇と呼気に触れたぼくは歯止めが効かなくなっていた。――このひとを、抱きたい。
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