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遠い昔の夢を見ていたような気がする。
白澤茉莉は、深い微睡みの中から目覚めた。
一人暮らしをしているマンションのすぐ側にある公道からは、アイドリング中のエンジン音が聞こえる。
強烈なエンジンの振動でカタカタと金具が擦れる音を聞くと、どうやら大型トラックが停まっているらしい。
ふと右手に触れたカーテンを開けると、眩しいほどの春の日差しが寝覚めの悪い茉莉へと降り注ぎ
寝ぼけた脳を爽やかに覚醒させた。
「んんーっ、いい天気…… 」
パジャマ姿のままベッドの上で両手を広げて伸びをすると、真新しい壁時計が視界に映る。
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