Room.5 -憤怒のあとの甘いとき-

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いつものように騒ぎ立て、ギャンギャンと子犬のように噛みついてくることもない。 ──やってしまった。 茉莉はそれから俺の部屋を訪れることなく、職場では必要最低限の会話しかしてもらえず、 呼び止めてもそつなく交わされて、幾日も過ぎたころ。 俺は今日こそ茉莉に会えるだろうかと、出勤前に玄関で立ち尽くしていた。 茉莉は、朝7時50分に家を出る。 ちょうど8チャンネルで今日の占いを終える時間だ。 俺の狙った時間を外しているのか、茉莉とは朝ばったり会えることもなくなっていた。 「やはり……謝った方がいいだろうか……いや、今さら言ったところで機嫌を損ねるだけか? わからない、女というものは謎だ……」 あれこれ彼女の反応を危惧しているうちに、重たい感情がどっと背中にのしかかる。 気だるげにドアを開けると同時に、隣の部屋のドアも開いた。
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