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二人は目を合わせて頷き合う。 それは身分など関係なく信頼し合っている者同士、対等な意思の疎通だった。 「生贄になると見せかけて、ウノを救い出し、私の国に連れ帰った。もちろん、敵対する国の娘を貰う事に反対意見が多かったが、ウノと私の意志は固かった。それにだ、ウノはトゥルンガの民を救いたいから攻め落としてくれと私たちに懇願したのだ」 ウノはトゥルンガの王を眺めて、大きく息を吸った。 「この国は病んでいる。王族だけではなく聖家という絶大な権力の前に、国民は疲弊しきっていました。ですから、そういうものは一掃すべきだと思い至りました。エレメキの国民たちはみな幸せでございます。なぜなら上に立つものが私利私欲に走ることなく、国民に寄り添っているからに違いありません」 ウノの声は何にも物おじしない力を持っていて、明瞭であった。 そこへ肥えるだけ肥えた、トウノが謁見の間へと引きずり込まれてきた。 キィキィと喚き散らして、豚の断末魔のようで、その場にいる誰もが顔を顰めずにはいられない。 身内であるトゥルンガの王ですら、嫌悪する表情を浮かべていた。 「ああ、信じられない! ウノじゃない! ちょっと言ってやってよ、この無礼者が私を引っ張るのよ! 私を誰だと思っているのです! 山の神の子を産んだ聖母なのよ!」
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