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「---あのさ、李薫。
さっき、俺、
“李薫と会うまで、優子のことが好きだった”
って言ったんだけど」
里崎さんが私に向かって身を乗り出すようにして言った。
「えぇ、そうでしたね。
里崎さん、ゲイでもバイでもなく、ストレートだったんですね」
「は?
いや、そうだけど、
ここはそういう話じゃなくて…」
「あれ? じゃあ、
私と会うまで、ってとこが重要ですか?
私と会うまで?
え?
私と会ってどうなったんです? 」
里崎さんは、すごく残念そうな顔をして、前のめりだった体勢を、元に戻した。
「…李薫って馬鹿だよね」
「え? 」
「李薫に出会って李薫のことが好きになったの。
俺、必死だったよ、
1年生の李薫と一緒にいるために、必要ない授業出まくったし」
「は…い? 」
私の頭の中の回路が、ぷしゅう、という音とともにダウンした気がする。
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