眠るティラミスに口付ける

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食事とともに、待ちくたびれて眠ってしまった彼女も必ずいた。 彼女が選んだ粋なソファで寝ている。 眠る彼女を起こさぬように、姫抱きにして寝室のベッドへと移動させる。 寝室の家具も、ほとんどが彼女好みの家具へと変わっている。 その中でベッドだけは、いまだにわたしが長年使っている物だ。 もちろん、布団やシーツも。 部屋全体をよく見ると安物のベッドだけが、異色を放っている。 センスの良い彼女の家具選びのかいあってか、一見、上手く調和しているように見える。 だが、確実にベッドだけが異物だ。 まるで、わたしと彼女の関係のようだ。 年が十も離れていて、好みも彼女は洋風、わたしは和風と正反対だ。 それでも、恋人という形がなりたっているなんて、この部屋のようにチグハグだ。
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