記憶

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 金太郎が咲夜の手を取って建物の外に飛び出た瞬間に、御堂全体が土煙を上げ倒壊した。 「あれはどうやった?」  飛び散る廃材の破片から咲夜を庇いながら問う。 「退治した鬼たちにお札を貼って封じたであろう。ああしておけば、体が朽ちてもこちらの式神として魂を吹き込めるのじゃ」  寺の境内には松明が明々と燃えていた。青鬼がターゲットを見失ったのか、首をぐるりと動かした。 「くうっ!」  突然、金太郎がこめかみを抑えた。 「どうした! 金太郎」 「わ、からね。頭が……ぐ、あぁ!」  そのまま崩れ落ちるように跪いた。
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